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なぜ『おもてなし』は中国人に伝わらないのか?(後編)

2010.12.1

株式会社パッセン
代表取締役 福井将二

もしも中国人の常識で、日本人客が『おもてなし』を受けたら...

常識や習慣の違いが引き起こす悲劇を分かりやすく感じていただくために、次のやり取りを読んでみてください。ここに出てくる中国大陸の中国人(中さん)は、日本に詳しくはありませんが、中国に旅行に来た日本人観光客を一生懸命にもてなそうとしている設定です。

夕方、日本人客が、中さんの宿に着きました。
中さん「食事の準備ができてますから、すぐにテーブルへどうぞ!」
日本人(えっー!ちょっと休憩して、お風呂に入ってから食べたいのになぁ~)
中さん「中国人に人気の料理ですよ!たくさん食べてください!」
日本人(カッ、辛い!!一気に汗出てきた。こっちはカエルだ!これ無理だって)
中さん「このスープも美味しいですよ~」
日本人(アッ、熱い!!口の中ヤケドしたよ。熱いから気をつけろって言えよ)
中さん「せっかく来たのですから、中国の変わった料理も食べてみてくださいね!」
日本人(もう十分だよ。変わった料理って、これ蛇?犬? 亀? 食べたフリしよう)
中さん「ビール沢山飲んでくださいよ!冷えてないビールもありますよ!ハイ乾杯~!」
日本人(もうビールはいいよ。しかも冷やしてないって、いい加減にしろよ)
中さん「お酒がいいですか?美味しいお酒ありますよ~!」
日本人(なんだ、この酒!火つけたら燃えるぞ、この度数)
中さん「今日はお風呂に入りますか?」
日本人(当たり前だろ!こんなに酔ったら、風呂に入るの危険だな)
中さん「女性の方はシャワーのあと、マッサージいかがですか?」
日本人(え~!女性はお湯に浸かれないの??)

この悲劇はまだまだ続きます。中さんは、日本人に一生懸命『おもてなし』をして、喜んでいるに違いないと確信しているのです。相手をよく知らずにもてなすことが、どんなことなのか、少しでも感じ取っていただけたなら幸いです。

なぜ中国人が、日本の温泉に行きたいというのか分かってますか?

「お風呂に入って癒されたいからでしょ?」 答えは『ブブー』です。中国大陸の人は、よほどの日本通の人でない限り、そんなことは想像もできません。

それだけではありません。北海道旅行に人気があるのはどうしてでしょう?
「映画の舞台になったからでしょ?景色も綺麗だし。」この答えだけでは『△』です。

表面上の話だけを聞いて、中国人の心の関心事を勝手に決めつけようとする日本人が、あまりにも多すぎます。だから、結局どうやっていいのか、分からなくなる。そして、「やっぱりリスクが大き過ぎるから、まだ様子を見よう」という、最悪の結論に甘んじているインバウンド関係者も、かなり多いと思います。これでは日本が動き出しません!

また、そんな状況を放置しておいたら、あっと言う間に、中国人の日本への興味は消えうせるかも知れません。今、日本人は、お客様に本当の喜びを提供できていないのです。中国人観光客側も『それ以上の喜びが存在する』=『日本の魅力はもっと深い』ということに気づいていない方がほとんどなので、今のところ特に不満とは感じていませんが、そこにもっと高品質を追求してこそ『世界に誇る日本品質のインバウンド』という価値が生まれるのではないでしょうか?

中国人観光客への「日本の何が良かったと思いますか?」というアンケート結果が時々公表されますが、私には、多くの中国人が消去法で答えを選んでいるように思えてなりません。是非ご一緒に、中国人が日本を好きになっていくためのインバウンドに取り組んでいきませんか?

中国人と日本人は、同じ人種だと思います。

これまでの歴史や環境の違いによるズレはありますが、中国人と日本人の行動特性は、根底では非常に似ていると、私は感じています。その理由は、今の中国人の行動が、過去の日本人の行動と酷似している部分が沢山あるからです。初めて海外旅行に行き始めた時の行動、景気が良くなった時の行動、自国民が最も優れているという考え方、他国の技術を真似て進化させ、自国の技術だと自慢する姿勢、などなど。

しかし多くの日本人は、中国人のことを別の生き物のように捉えています。これには、様々な原因があると思いますが、国(経済圏)ごとにタイミングが異なる『長期趣向トレンドのズレ』も大きな原因の1つだと私は考えています。現在、そのトレンドの波動を図で表すと、日本と中国は、まさに真逆に位置します。

今の中国人は『贅沢』に興味があります。日本人は約15年前にその頂点を通過し、今は『節約』に興味があります。今、中国人には『節約』をアピールしてもピンと来ません。今、日本人に『贅沢』をアピールしてもピンと来ないのと同じように。

これは、ほんの一例です。この『長期趣向トレンド』を体系的に理解し、かつ、中国の常識や習慣などをよく知っておくと、今、中国人に響きやすい文章や、中国マーケットに受けそうな商品、受けない商品の判別など、非常に役に立ちます。また私共は、あくまでも中国大陸の中国人(13億人マーケット)に照準を据えてコンサルタントを行っておりますが、台湾人や香港人への仕掛けを組み合わせる重要性や中国インターネットユーザーの動向などについても、絶えずリサーチしております。真剣に中国インバウンドに取り組む皆さまのお役に立てることを心から願っております。

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